登場人物のエキスパートぶりと個性が光る『BONES-骨は語る』

ジェファソニアン研究所の頭脳明晰な法人類学者のテンペランス・ブレナン。『BONES-骨は語る』は彼女とその相棒のFBI捜査官シーリー・ブース、そしてジェファソニアン研究所の仲間達がそれぞれの専門性とチームワークで難解な犯罪、殺人事件を解決していく物語です。

法人類学者でもありながらベストセラー作家でもあるブレナンは、骨の専門家。殺人事件が起きた時にはブースからの依頼で遺体の骨を分析し、事件を解決へと導いていきます。自分でもその優秀さを充分自覚し、周囲にもその知識と能力では大いに尊敬されている反面、科学で説明できない事柄や根拠のない主観や推測、人間的な心情、空気を読むという事が大の苦手。徹底した理論と合理性から出された自分の確固たる意見を絶対に曲げません。
一方ブースは自分の直感的なものも信じ、厚い人情を持っています。犯人を明らかにするために時には感情も爆発させる人間くさいタイプの捜査官。そんな正反対とも思えるふたりは、ブースが愛情について語ると「それはホルモンが分泌されているからよ」とブレナンがあっさり切り捨てるなど、意見が衝突することもしょっちゅうですが、様々な事件を共に解決することで信頼関係が深まり、次第に仕事上の「相棒」を越える関係へと発展していきます。
ブレナンは客観的事実を述べるあまり、周囲に反感を買うことも多々あります。相手を褒めようといたって真剣に、全く悪びれず「あなたはとても優秀よ。私程ではないけれど。」と言ってのけます。

そんな彼女のよき理解者でもあり、共に遺体を分析していくのがジェファソニアン研究所の仲間達です。
同僚でもありブレナン唯一の親友でもあるアンジェラは、他のメンバーが死体を慣れた手つきで扱う中気持ち悪がるなど繊細な心の持ち主で、ブレナンと対照的に人間らしい感情にも敏感です。CG技術を駆使して被害者や凶器などの特定をしていきます。メンバーの中では比較的一般的な感覚を持っているようにも思われますが、恋愛面での奔放さは随一です。
サローヤンはブレナンが骨専門なら肉専門。頭の良さと科学の力だけでなく全体を見通すリーダーシップで個性的なメンバーをまとめる研究所のボスです。
また、虫の専門家で自称「ラボのキング」のホッジンズや、ブレナンにその学問を馬鹿にされながらも、心理学で事件解決だけでなくブレナンとブースの関係改善にも貢献するスイーツ。ブレナンの助手にも次から次へと強烈なパーソナリティを持つメンバーがやってきます。
こんな個性的なエキスパート達が事件を解決していく様はもちろんですが、このドラマの魅力はそんな彼ら彼女らが織り成す人間模様にこそあります。
ブレナンが兄や父親との関係に悩んだり、アンジェラとホッジンズはくっついたり離れたり(時にアンジェラには同性の彼女ができることも)を繰り返してようやく結婚、サローヤンは亡くなった元恋人の娘を養子に迎え育てる覚悟を決め、成長したその娘が自分の部下と付き合い始めたり…。ブレナンとブースも紆余曲折ありながらもシーズン6でやっと結ばれ、子供も生まれます。
ブレナンをはじめとするジェファソニアン研究所のメンバーは、それぞれアクが強く、時には人としてどう⁉︎と思うような発言や行動もありますが、それも憎めない魅力があります。時にはメンバーが事件に巻き込まれて命を落とすこともありますが、その時には本当に落ち込んでしばらく余韻に浸ってしまうほど。嫌われ役で登場した助手の女性が実はとても可愛らしい一面を持っているなど、いつの間にかどのメンバーも大好きになってクスッと笑えてしまいます。それはそれぞれの人物の抱える過去や背景や悩み、人物同士の関係性が事件を解決するドラマの合間にしっかりと描かれているからだと感じます。

事件解決の側面では、ブレナンがわずかに骨に残った痕跡を手掛かりに死因を特定したかと思えばアンジェラがあっという間に顔を復元して不明だった身元を特定し、サローヤンが毒物検査をやっている間にホッジンズがわずかに遺体についていた花粉や微粒子、虫から本来の殺害場所を探し当ててしまうなど、日本のドラマには観られない超専門的な分析を進めていきます。BONESを観慣れてしまうと、日本の犯罪ドラマでは物足りなくなってくることがあり、「こんな方法で殺人したってボーンズにかかればすぐバレるのに。」とつい思ってしまうことも。こんな症状が出始めてしまうと、すっかりBONES中毒の証拠です。
ボーンズことブレナンはシーズン10にて第二子を妊娠中。長女が生まれた時と同じく、ブレナン役の女優、エミリーは実際に妊娠していて体当たりで演技をしています。第二子誕生後もバリバリと活躍してくれることを願っています!

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