サイモン・ベイカー主演 メンタリスト/ THE MENTALIST

見ている私たちも笑顔でころっと騙されるメンタリスト

サイモン・ベイカー主演のメンタリストは2008年からアメリカで放送されている刑事ドラマです。日本ではスーパードラマTVにて2010年から放送されています。

人を観察し、心理を読み、心理を利用して他人を操ることが得意なパトリック・ジェーン(サイモン・ベイカー)は犯罪コンサルタントとしてカリフォルニア州捜査局(CBI)の捜査に加わります。以前はサイキック(霊能者)としてテレビ出演をしたり、相談役として詐欺師のようなこともしていましたが、連続殺人鬼レッド・ジョンの事件についてテレビ出演時に触れて挑発してしまったことで、自身の妻と娘をレッド・ジョンに殺害されてしまいます。それ以来レッド・ジョンへの復讐が彼の人生において最優先事項となり、CBIに協力することになりました。

ジェーンが協力する捜査チームを率いるテレサ・リズボン(ロビン・タニー)は小柄な女性ながら容疑者確保の現場では自ら突入することもある行動力があり、部下や上司からの厚い信頼もある上級捜査官です。プロフェッショナルらしく仕事することを望んでいてチーム内のプライバシーや礼儀、捜査に真摯に向き合うことを重要視するため、時々容疑者だけでなくチームのメンバーをも心理的に操作するジェーンに対して、扱いに困っていることもありますが、彼の能力は信頼しており、上層部からの圧力からジェーンをかばうこともあります。

第1話の冒頭からジェーンは被害者の母の思っていることを言い当てます。写真や持ち物、部屋の様子や表情と言ったものからその人の性格や考えていることを読み、事件を解決してしまうのです。時には誰にも言わずに手がかりに惹きつけられるように出かけて行き、罠を張ることもあります。何事もなかったように嘘をつくのに対して、暴力や銃は苦手で、どんな時も自身が銃を携帯することは拒否しており、武器を持った容疑者と対峙する時は少し離れた場所から傍観しています。飄々としているように見えるジェーンは楽しいとは言い難い幼少時代を過ごし、事件に巻き込まれ精神を病んでしまったこともあり、家を処分することもできず、かといってそこで生活出来る精神的強さもない。そんな影を隠しきれていないのに、時に茶目っ気たっぷりの笑顔を見せるパトリック・ジェーンという人物がとても魅力的に描かれていて、撮影開始時にアラフォーである彼に対してキュートという形容詞を使いたくなってしまうほどです。

ほとんどのエピソードが1話完結になっていますが、忘れた頃にレッド・ジョンが事件を起こしたり、レッド・ジョンの協力者がジェーンたちに接触してきたりして、平和な日々は訪れることなく、まだまだ続くのだということを思い知らされます。普段は冷静に容疑者を追い詰めるジェーンもレッド・ジョンが関わると気持ちに焦りが見え、手を伸ばしたすぐ先にいるのにのらりくらりと躱されて捕まえ損ねてしまいます。一進一退しながらも遂には容疑者を絞り込んでいき、追い詰めるシーズン6は見ものです。

またそのシーズン6の最終話は、今までぎこちない友情を交わしていたジェーンとリズボンの関係が変わる回です。今までの関係が良き理解者であり、ほんわかと温かい友人の関係であり、同僚であったので、気持ちの面でもとても臆病なジェーンとリズボンの関係が変わる時は、視聴者をもドキドキさせます。

二人以外のレギュラーメンバーも魅力的で、チームの肉体派であり、クールにこなすので尋問をよく担当するキンブル・チョウ(ティム・カン)にもファンが多いことは有名です。半袖のワイシャツや、時に見せるコミカルなコメント、張り込み中も文庫本を持ち込んで読むほどクールなのに、状況には柔軟に対応し、チームに内緒で罠を張るジェーンの協力者になることもあります。

またチーム内のデジタルな作業に対応することの多いグレース・ヴァンペルト(アマンダ・リゲッティ)と、何事にも不器用でまっすぐなウェイン・リグスビー(オーウェン・イオマン)の人間関係はとても可愛くて見ていて微笑ましくなるものです。時には見ているのが辛くなってしまう回もあるため、彼らの存在が物語全体を温かい雰囲気にしてくれています。

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