“皆さんはフォトエッチング加工についてご存知でしょうか?フォトエッチング加工とは、金属に対して腐食作用のあるエッチング液という薬品を用いて、金属を溶解加工するテクノロジーです。この加工方法は、インテリアの制作や芸術作品の制作などで活用されていますが、産業用の精密部品にも利用されていて、ステンレス製品や同製品などの金属の精密加工の手段として採用されています。
フォトエッチングの原理は、写真製版技術を用いてデザインした形状パターンを金属の上に作り、表面をマスキングして被膜保護処理をしたのちに、金属を溶かすエッチング液で扶養部分を溶解させて除去し、デザイン通りの形状を実現するものです。
具体的な作業の流れを説明すると、最初にエッチング原版を作成します。かつては手作業でしたが、近年は図面やデータをもとにCADを利用して原版を作成します。次に、加工する金属板の脱脂洗浄をします。フォトエッチング処理前に金属表面の異物や油分を取り除くことで、エッチング液が満遍なく金属に濡れるように準備します。次は、レジストのラミネートです。フォトレジストを金属板材の面裏の両面に貼り付けることで、マスキングします。マスキングされた部分はエッチング液が付かないため、エッチングされません。その次は、露光でパターンを焼き付けます。露光では紫外線が使用されます。紫外線を照射することで、遮光されていない部分のフォトレジストが感光し、パターン形状が転写されるわけです。次のステップは、現像処理です。エッチング原版のパターンが露光転写された部分に現像処理をします。この処理では、不要なパターン部のレジストが除去されるため、金属の表面が露出します。その次は、マスキングされた金属板材料にエッチング液を塗布することで、露出された金属部分腐食・溶解させ、パターン通りの形状に金属板を除去加工します。最後に、金属板の表面に残っているフォトレジストによるマスキングを除去して、洗浄、乾燥工程をへて完成です。
今や、エッチング技術はいろいろな産業分野でも活用されていて、代表例としては、集積回路などの電子部品の製造や自動車部品の製造、医療機器の製造、広角関連、事務機器関連などがあります。
加工できる金属は、一般的な金属では、ステンレス、銅、鉄、ニッケル、ニクロムなどがあり、特殊金属ではモリブデンやチタン、アルミニウム、タングステンなどがあります。
エッチング加工は、歪みやバリ、カエリ、加工硬化などがなく、高精度加工ができるのが最大のメリットです。同様のものをプレス加工などで作ろうとすると、高価な治具が必要で、イニシャルコストがかかります。製造期間も短いため、短納期で試作品の開発に向いています。また、一般的に金属加工となると金型が必要になりますが、エッチングでは、それが必要ないため、その分のイニシャルコストも削減できます。
フォトエッチング加工の応用技術としては、ハーフエッチングや折り曲げ加工、スポット溶接などがあり、これからさらに応用技術が出てくることが期待されています。